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新時代の幕開け

新年 おめでとうございます。


平成から令和に変わって初めてのお正月を迎えました。
年号が変わる=時代が変わる と言いますが、本当に時代が変わる節目を迎えているのだと実感します。
そうは言っても天災のように、ある日突然激変するわけでも無く、その前兆は前々からあった訳で、 弊社における準備の出発点は平成20年8月、約12年前にまで遡ります。
振り返ると、精練・染色の委託加工業として技術を磨いてきた西陣の先染産地。
しかし技術の求められ方の多様化とでも言えばいいのか、ヴィジョンや優先順位が見えてこない中で低価格・小ロット・多品種・クイックレスポンス・コンプライアンス、そして企業努力という言葉だけが氾濫し、押し迫ってくる不安感の中、「誰」が何を考えてモノゴトが動いているの?という本質が見えてこなかった。


そんな危機感の中、平成20年8月当時の社員を全員集め、平成25年8月までの5年間、私が加工に携わる時間を自由に使わせて欲しいと相談し、全く白紙の状態から弊社の未来像を模索する私の旅が始まった。

【第1】に考えたのは「本当の依頼者を探す」という旅だった。
当時は、委託加工とは取引先からの加工依頼に応えるのが仕事であるので、弊社への伝票発行者が依頼者だと思い込んでいた。しかし、その伝票発行者も依頼されて生地を作っていることが多く、依頼者の依頼者の依頼者が居て・・
というように分業化という慣習の弊害が弊社における努力の方向性を定めきれずにいる原因であることを突き止めた。
そして、本当の依頼者は「TOKYO」に居ることが多く、モノゴトは「TOKYO」で決まる事が多いこともわかった。

様々なご縁とご支援のお陰で東京のど真ん中に弊社の看板を掲げさせて頂くことが叶ったことで、モノゴトを決める人と直接話ができる機会が増え、また決める場にも同席させて頂き、毎月本当に多くの学びと気付きを得る時間を過ごす幸運に恵まれました。そして弊社の強みと役目が明確になっていった。

【第2】の旅の目的は「モノゴトの考え方」を整理する旅となりました。
ある時、イタリア人から「日本のファッション関係者は、日本では高い物は売れないというが、日本市場においてエルメスもヴィトンもグッチも毎年増収増益を伸ばしているよ。それらの商品は決して安くないよ」と、いう話を聞いた。

確かにその通りである。しかし、我々の産地では、「もっと安くしないと売れない」という類の話が確かに多かった。グローバルスタンダードといった言葉があるが、地球規模で見ると、高額商品はEUから購入し、低価格商品はAsiaから購入している。
技術ではEUと戦い、価格ではAsiaと戦ってしまっている日本製品を地球人がわざわざ購入する理由があるのか?
日本でモノづくりを続ける中で、中国からベトナム、バングラデシュを経てアフリカ大陸まで移動している繊維産業の生産地の人件費以下に抑えることが不可能であるならば、技術で戦うしか選択肢はない。

弊社は10年後に向けて今何をすべきなの?という弊社の未来を確定付ける気付きをこの旅で得ました。
そして平成25年8月を迎え、絶対的な自信と確信をえて5年間の旅が終わりました。
【第3】技術開発への挑戦
【第4】国内外の表舞台を視察&体験
を経て、昨年【第5】革新期〜へと推移しています。
全ては、これからも変わらず絹製品が日本国内で作り続けられる環境を維持するために。

今年も全力で走ります。

令和2年1月7日


株式会社 山嘉精練
代表取締役 山内伸介