ごあいさつ
みなさま、はじめまして。
株式会社 山嘉精練は、代表の私が開発を担う柱となり、絹の豊かな魅力を広くお届けできますよう、
社員全員が日々研鑽を積み、奥深い絹の技術を追究しております。
絹を知り、絹に学び、絹糸を扱う技術と道具を、指向や求めに応じて自在に使い熟せるようになり、
みなさまから必要とされる絹製品をこれからも日本国内で作り続けるための活動をしています。
今こうして毎日絹に触れる生活を過ごしていますと、絹の仕事のすばらしさに感動します。
絹の仕事は、多くの工程を辿りながらも、作り手が想像力をもって、まだ見ぬ使い手と対峙し、
絹の魅力と作り手の想いが伝わるように、予め言われなくても先もって拵えておく細やかな工夫や、
より良くしておく心遣いが随所にあります。
後工程で仕事をする職人や、使い手を想うモノづくりには、
日本人が日本人らしく代々育んできた感性の基が集約されています。
「形」ではなく「想い」を受け継ぐためのモノづくり。
私たちは、「練り屋」「染め屋」という枠にこだわらず、時に企画から開発、販売まで携わりながら、
ライフスタイルが移り変わっても、「絹」が いつも身近であり続けられるよう、
未来に向かって絹素材と加工技術の追究を実践し続けます。
京都丹波の亀岡市から、絹の良さを広めたい。
これから歩み出す若手の職人も熟練の職人も、絹の「技術」と「道具」を大切に使える心豊かな「人」へと育める環境づくりを目指します。
そして、オールドマシンが醸し出すゆっくりとした時の刻みのなかで、故きを温ね、最先端の新しき発想を創り出してゆきます。
ライフスタイルが変わろうとも、いつも最先端であり続けます。
株式会社山嘉精練
代表取締役 山内 伸介
技術を伝える
社会人になるまで、繊維分野の勉強をしたことは全くありませんでしたが、
就職を考え出した頃、京都には老舗企業が多くあることから、
「老舗」という言葉の響きについて興味を持ち、
「老舗」が代々継承している歴史観を自分なりに調べてみたり、教わったりして、
私なりに何か感じ入るところがあったのでしょう。
当時、創業百年目を迎える老舗呉服商に就職させて頂くことに成りました。
就職して始めて日本の伝統的な織物に触れることとなり、
それらの作り手、売り手の方々、織物の魅力を伝え続ける努力をされている方々とのご縁から、
我が家業を改めて考えてみると、両親が営む家業、そしてまた、私の先祖が代々継承してきた仕事こそ、
日本の伝統産業、伝統文化の一端を担っていることを強く意識しました。
両親からは、のちになっても「家業を継ぐように」と言われた記憶はないですが、
導かれるように、時に見えない大きく偉大な力に操られているかのようにして家業に戻り、
祖先と同じように絹を観て触れて感動し、受けて、継ぐことを生涯の役目と悟り、今日令和の現代に至ります。
日本の建国以前より継承されてきた絹織物は、神聖なる献上品から、庶民が紡ぎ織った野良着まで、
ずっと愛されてきた素材であり、人の身体を守る薬と考えられてきました。
絹は知れば知るほど面白く奥深い。
神話の時代から伝わる絹が、この令和の時代にも脈々と受け継がれている以上、次代にも繋げ、この豊かさを受け継ぎたいと思います。
だからこそ私たちは、精練工程が絹の魅力を引き出す基と考え、絹の豊かさを肌で感じていただけることを最優先に工夫しています。
絹の基をしっかり学び守ってゆくことで、“伝統だから...”とか、“文化だから...”と余計なことを言わなくても、
モノの魅力で選ばれるようにしてゆきたいと考えています。
これからも、絹という素晴らしい素材と、絹を扱う「人」「技術」「道具」を受け継いで参ります。