遠きを謀る
遠い先を考える者は、百年先のために松や杉の苗を植える。
まして、春に植えて秋に実る物については当然なすべき世話をする。だから富んでいる。
近い先のことしか考えない者は、春に植えて秋に実るような物でさえも、遠い先のことだとして、植えようとしない。
ただ目先の利益に迷って、種を蒔かないで収穫し、苗を植えないで刈り取ることだけに眼をつける。だから貧窮するのだ。
蒔かないで収穫し、植えないで刈り取るのは、目先の利益があるようだけれども、一度取ったら、二度と刈ることができないではないか。
一方、蒔いては収穫し、植えては刈り取るというやり方は年々歳々尽きることがない、これを無尽蔵(むじんぞう)というのだ。
これは、二宮尊徳の言葉である。
昨年秋に始まった世界的不況は、まだ続きそうである。こういうときこそ、
「遠きを謀る」必要がある。今月の売上、利益が大切なのは言うまでもないが、
それだけに終始していたのでは会社の「将来」がない。
不況という真っ暗なトンネルの中を進んでいる最中は、隣にいる他社の様子もはっきりとは見えない。
そのため、「他社も自分同様に資金繰りや売上確保で苦しんでいるだろう」などと思いがちである。
しかし、他社の中には、必ず「遠きを謀る」企業がある。
そういう会社が不況下で実力をつけている。
そして、トンネルを抜けて、明るい空の下に出てみると、もはや取り返しがつかないほどの差がついている。この意味で、今こそ我々は「遠きを謀る」必要がある。
この文章を読んで、以前なら「それは余裕のある人の考え方だ!!」と脳裏を過ぎったと思う。しかし今は、この様な考え方になるために何が必要なのか?と考えるようになってきた。
誰しもが努力をしている。
しかし、結果は歴然と差が生まれる。
その差は何なのか?と、考えるか事が格差なのかもしれない。
当然、考えただけでは何の進展も無いので、行動に移す。
PDCAなんて知っている!!という前に、どれだけマクロな部分に焦点を置いているのか?総合力で取り組むのが弊社である。
年の瀬も押し迫ってみると、今年も沢山の人たちにお世話になった事に気付く。
今こうして商売が出来ていること事態が、決して一人の努力の結果だとは到底思えない。
では、どうやってこの恩に報いるのか?
第1は会社を潰さないこと。
第2は過去には出来た加工が、職人の退社などの理由で出来なくなるという事態を起さないこと。
いつでも安心をご提供する事が、今から絶対にしなければ成らない課題だと思っています。
平成21年は大きな事から小さな事まで、本当に変化の多い年でした。
その中で変わらず居るという事の難しさを痛感した年でもありました。
自社の能力×時代の流れ=平均点+α
これを維持し続ける、それも半年先ではなく5年10年・・・と。
来年弊社は40周年を迎えます。
今までの歴史を担ってくれた先輩方に感謝し、また日々仕事を依頼して下さる多くのお客様方の期待に応えられるよう益々努力して参ります。
来年は更に期待して下さい。
今年1年本当にありがとうございました。
皆様にとって素晴らしい歳になるよう心からお祈り申し上げます。
株式会社 山嘉精練
代表取締役 山内伸介