温故知新
前回「今の若者たちは凄いんです」というブログを書きましたが、
7月5日、その「きょうのくわとかいこ」について京都新聞に掲載して頂きました。
京都新聞様、弊社の取り組みを取材して下さりありがとうございました。
こうして新聞を通してみると、随分立派なことをしている印象を受けますが、
この地で蚕を飼うという作業自体、昔から繰り返し行われてきた事であり、
新たに始めた事ではありません。
絹を扱う者が絹について学ぶ。
これも普通の事です。
しかし、この普通の事をしなくなるとヤヤコシくなるんですね。
7月5日の「きょうのくわとかいこ」で
今までは、絹糸に対して特に深く考えずに、精練や染色をしていました。
仕事柄、絹糸をつい工業製品と捉えてしまいがちですが、
カイコの命の結晶を扱わせてもらっているのだと、
改めて感謝の気持ちを持つようになりました。
命の大切さを学んだ一カ月半でした。
と、書いてありました。
頭ではわかっていても、実際に体験しないと肚に入らない事はたくさんあります。
私たちの仕事は、技術を伝承するためには心遣いも伝承する必要があると思うのです
この様な文章を書いてくれただけでも、「きょうのくわとかいこ」を続けてきた意義がありました。
この僅かな期間でこれだけの大きな学びを得てくれた事が本当に嬉しくて仕方ありません。
絹糸だけでなく、全ての物には命が有り、輪廻転生を繰り返す。
その一瞬を共有していると思えば、日々起こる現象に一喜一憂し、心乱れる事も減ってくると思います。
蚕よりは少し寿命は長いですが、私たちも限りある時間、限りある存在なのですから、
喜んで生きなければいけないと思います。
東日本大震災を経験した直後だからかもしれませんが、
特にその様な事を考えるようになりました。