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2010年8月20日  心に響く経験

こんにちは。

5月11日からはじまった報告もアッと間に3ヶ月が経過しました。

当初、「絹糸が繭から出来ている」という一般的な知識はあったものの

知識の世界と実際に育ててみた現実とのギャップは非常に大きかったです。

特にかいこが初めて繭になって感動したことや、そのかいこから2代目が生まれ

育った事がとても印象深く残っています。こういう感覚が【心に響く】という事なのでしょうね。

お陰様で無事2代目のかいこも繭になってくれました。

というわけで、本日を持ちまして『今日のくわとかいこ2010』は一旦終了する事になります。

それでは、最後も元気よく始めます!

 

桑の木

 

最初は私より少し背が高かった位の桑の木も3ヶ月でこんなに大きく育ちました。

植物の成長はあまり変化が無いように思っていましたが、こうして観察すると1日も止まることなく

確実に大きくなっています。そして沢山の葉を付けてくれた事で多くのかいこの命を育む事が出来ました。

今年もありがとう。そしてお疲れさまでした!!

これから秋に向かいますが、来年までゆっくり休んでください。

 

繭たち

 

そしてかいこたち。こんなにたくさんの繭が出来ました。

飼育した感想としては、最初は桑の葉を小さく刻み与えていたかいこたちも自ら大きな葉を食べれるようになり

成長するかいこと接する事で随分愛着も生まれました。また、当然の事ながら

桑の葉の量がかいこの飼育量と比例すること(食料自給率100%)の大切さも改めて痛感しました。

日々食欲旺盛なかいこの前に、みるみるうちに桑の葉が無くなっていった時には

繭になるまで保つ事は出来るだろうか?と幾度も不安が過ぎりました。

最初胡麻のように小さく黒い点でしかなかったかいこが毎日桑の葉をモリモリ食べて約50日で繭を作ります。

繭から出てきた成虫は卵を産んで僅か数日で死んでしまいます。

この繰り返しが1000年以上続いているという事実を目の当たりにすると、天の虫と書く【蚕】という生き物は

私たちに絹糸を提供するために生まれてきたようにすら思えます。

 

絹糸

 

かいこが出す糸をたくさん撚り合わす事で丈夫で美しい糸になり、その糸を織り上げることで

生地ができて様々な服等に仕上がっていくのですが、その命の断片である絹糸を無駄にすることなく

やさしく、そして大切に扱い、皆様にお届けする事が私たちの役割であります。

私も3ヶ月前よりもかいこについて詳しくなりましたし、会社での仕事への理解も

更に深まったのではないかと思っています。何よりも、こうして振り返ることが出来たのも

この観察があったからです。

この観察は私にとっても大きな経験となりましたし、ブログを通じて文章を書くということも

初めての良い経験となりました。この経験を糧に立派な職人となり

シルクの魅力を更に多くの方々へ伝えられるよう努力して参ります。

 

今までこのブログを見て頂いた全ての皆様へ

拙い文書力で意味不明なことも多々あったとは思いますが

かいこに対するまっすぐな気持ちだけでもお伝え出来れば上出来かな・・・と思っています。

来年度は新たな後輩が、新しい切り口で報告を担当することになると思いますので、その時は私同様

優しく見守ってやってください。そしてかいこや絹をもっと身近に感じて頂ければ幸いです。

3ヶ月間、ありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。

 

まゆ